帆刈 吾郎
株式会社博報堂DYホールディングス ストラテジックデザイン事業戦略室
1995年に博報堂入社、以来マーケティング職に従事。2013年タイ・バンコクに駐在、生活総合研究所アセアンを設立。2020年日本に帰任し現職。
現代社会では、足元の状況を正確に理解するだけでは不十分です。未来を先取りするには、微かな兆しである「ウィークシグナル」を感知し、その意味を理解することが必要です。そして、その洞察をもとに即座に行動し、学びを深める。こうしたサイクルを築くことが、成功の可能性を高める鍵となります。
「ウィークシグナル」とは、まだメインストリームではない実験的テクノロジー、若者の間で静かに広がり始めている新しい働き方や生活様式、従来の業界の常識に挑戦する新興企業の試み、持続可能性に向けた実験的アプローチなどのこと。その界隈にいる人たちの間で話題になっている、人々の行動が変わり始めている様子などの微かな変化の兆候のことです。
しかし、言うは易く、実際にやるとなると話は別です。投資というひとつの領域ではありますが、私自身、過去にこの「ウィークシグナル」を見逃してしまった経験があります。
見逃した
ウィークシグナルの教訓
経験その一:仮想通貨ビットコインの可能性
2017年ごろ、研修講師だった会計士の方と会話した際に次のような話しがありました。
「これからビットコインが注目されるのではと仲間内で話題になっています。なぜなら取引に消費税がかからないらしいんです」
当時の私はそのメリットを深く理解することができず、会話をそれ以上掘り下げることはありませんでした。しかし、振り返ると、2017年当時、100万円から200万円だったビットコインの価格は、2024年約1,500万円に達しています。このような成長を目の当たりにし、実験的テクノロジーが会計士という専門家の間で広まりつつあるウィークシグナルを見逃した悔しさが残っています。
経験その二:エヌビディアとの出会い
2018年ごろ、シリコンバレーに駐在していた大学の友人とランチをした際にから次のような話を聞きました。
「エヌビディアという会社がすごいんだ。半導体を作っていて、とにかく注目している」
私は「すごい」という言葉以上に具体的な情報を引き出せず、深く考えることもありませんでした。しかし、2018年当時、1株5~6ドルだったエヌビディアの株価は、2024年約130ドルに達し、誰もが知る銘柄となりました。この例もまた、シリコンバレーというテクノロジー新興企業先端地域でのウィークシグナルの重要性を痛感させる出来事です。
もちろん両者のケースとも今後まだまだ成長する可能性はありますが、成長の果実を大きくとらえるには微かな兆しのころから感知し、行動していた方がいいのは間違いありません。
どの領域の
ウィークシグナルをとらえるか?
足元にあるウィークシグナルを見逃さず、行動へ移す。それによって効果と意味を深く理解する。これは投資の分野に限らず、ビジネスにも適用できる原則です。未知のフロンティアにいち早く手を伸ばし、経験から学びを得る。このサイクルを回すことで、成功確率を高めることができます。
では、今私たちが「ウィークシグナル」に敏感になっておくべきものは何でしょうか。それは間違いなく人工知能(AI)です。AIの影響力は既にビジネスのあらゆる場面に広がっていますが、まだまだ先行者利益が取れる領域だと思います。インターネット、スマートフォン、ソーシャルメディア、クラウドと過去を振り返ってもゲームチェンジャーとなる新しいテクノロジーがもたらす変化に鋭敏であることの重要性はいうまでもありません。とにかくAI。AIについて話題にする人がいたら耳を傾け、新しいAIサービスが生まれたら試してみる。私はこの考えを自らの行動指針としてみようと思います。
*本原稿は、約800字の箇条書きメモを作成し、Chat GPTとClaudeに「次の箇条書きを寄稿文風にしてください。ですます調でお願いします」とだけ指示。両AIから上がってきたものを見比べ加筆修正して作成しました。