あなたにとってマーケティングとは?


12人のマーケティング点描

巻頭言

 『マーケティング ホライズン』刷新に際し、現編集委員全員によるリレーインタビューを全12回にわたってお届けします。
 このリレーインタビューの共通の問いは、ただ一つ。
 「あなたにとってマーケティングとは?」です。
 『マーケティング ホライズン』 は、 1958年の創刊以来、 いわゆるマーケティング・スキルやHOW TOのTipsを紹介する媒体ではありませんでした。社会や暮らしの足元で起きている胎動を敏感に捉えつつ、水平線の彼方を望み、未来を描く。その兆しや潮流をお届けすることで、読者の方々にとってのセレンディピティとなることを変わらぬ使命としてきました。その使命を担ってきた編集委員一人一人の「マーケティング」に対する答え。面白くないわけがありません。
 現編集委員はアカデミアの最前線で次代を育てる研究者、グローバル企業で事業を牽引する経営者、そして企業や社会のさまざまな課題の解決に挑むコンサルタントなど、立場も世代もキャリアも、そしてマーケティングとの向き合い方も異なります。その多様な視点を持つ12人が、同じ問いにどう向き合い、どのような言葉を紡ぐのか——そこに結ばれる像こそ、今という時代のマーケティングの姿を映し出すことでしょう。また、そこに現れる幅や違いの中に、これからの時代におけるマーケティングの可能性が立ちのぼるのではないかと考えます。
 かつては専ら「モノを売るための技術」として語られてきたマーケティング。しかしいまや、その定義は劇的に拡張しています。マーケティングは、単なる顧客を理解する視点に留まらず、企業の戦略思考基盤へと広がり、さらに「未来の社会と暮らしをどう共創するか」という、より根源的な問いへと進化しています。変化が激しく、正解が見えにくくなるVUCAの時代において、マーケティングはもはや一部門の専門領域ではなく、すべての人が持つべきものとなりました。
 2026年。世界で起きている変化のうねりは、ビジネスにも、一人ひとりの暮らしにも否応なく大きな影響を与えています。光と影がますます複雑に交錯する中、わたしたちはそれぞれの立場でどんな希望を未来に描いていけるのでしょうか。マーケティングは、その問いを共に考えるための「灯」であり、同時に未来へ踏み出すための地図とコンパスにもなり得ます。
 このリレーインタビューが、読者の皆さまの思考を刺激し、未来を描く勇気をお届けできることを願っています。

本誌編集委員長 ツノダ フミコ