ツノダ フミコ
マーケティングホライズン誌 編集委員長
Greeting
日々マーケティングに携わる読者の方々にとっては、生活者の「欲」に向き合うことなど朝飯前、「何を今さら」と思われるかもしれません。ましてや、ニーズやウォンツとなれば、まさに基本の「き」、散々語り尽くされているではないか、と感じられるかもしれません。
しかし、だからこその特集テーマです。マーケティングの一丁目一番地とも言える「欲」だからこそ、今一度じっくり向き合いたいタイミングであると考えました。
変化の激しい時代、との言葉では言い尽くせないほどの変化真っ只中にいるわたしたち。民間人が宇宙に行けるようになり、公道での自動運転実現に議論が大きく前進し、世界的な感染となった疫病が昔馴染みの隣人のように常態化するなど、激流とも言える日々を淡々と、あるいは必死に生きているわたしたちの欲。
どのような人のどのような欲に注目するのかにより、そのありようは異なります。国家レベルの欲もあれば、ヒトとしての生物的な欲もあり、暮らしの中でほんの一瞬、浮かんでは消える小さな気泡のような名もない欲も果てしなく生まれていることでしょう。
長年同じ欲とがっつりと格闘している人がいる一方で、未だ見ぬ新たな欲を創り出すことに血道を上げている人もいます。一個人としても、マーケティングに携わる一人としても、わたしたちが欲と道を違えることはできそうにありません。ならばとことん「欲」にまみれて(?)みるのも一興です。
2024年のはじまり、編集委員の頭の中にそれぞれの視点と姿勢で映し出される「欲」について集めてみました。共感や違和感と共に、ご自身の欲と向き合ってみてはいかがでしょうか。
よくよく欲を考える