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新津 重幸 氏
高千穂大学 名誉教授
内田 剛 氏
一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会 専務理事
北村 裕一 氏
日経広告研究所 研究フェロー
進行:中島 聡 氏
公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 専務理事
デジタル広告やSNSの拡大、それらに伴う生活者の価値観変化に伴い、現在、さまざまなコミュニケーション上の問題が浮上している。本座談会では、日本のコミュニケーション構造の問題から店頭コミュニケーションの動向にいたるさまざまな領域での課題について、その現状と解決の方向性などを含め、学術・経営・実務に深い知見をお持ちのご三方にお話をうかがいました。
中島 現在、さまざまな分野でコミュニケーションという点が大きな問題になっています。一例として、ポストトゥルース、フィルターバブル、エコーチェンバーなどで指摘されていますが、情報の発信元と情報の受け手との間に一定のバグが生じていて正しい情報がなかなか伝わらないといったことです。
まずは新津先生から、日本のコミュニケーション構造の課題についてお考えをお聞かせください。
新津 一番大きな問題は、デジタル広告のウエイト、伸び率が非常に高いということでしょう。ということは、一方通行の媒体を使って一方通行構造のコミュニケーションになっているという点です。
デジタル広告やSNSからの発信コンテンツは、実際に真実を見ていくということではなく、ずっと閉じられた中で伝播していくフィルターバブル的な構造ですから、何が真実かどうかもわかりにくいわけです。おまけに、コンテンツを受ける側の消費者、生活者側は「あなた方が自分でうそかどうかを判断しなさい」と言われる。そんな馬鹿な話はないと思うのですが、今のところ現状はそのようになっています。
それから、実際にコミュニケーション構造の中で言いますと、購買自体のコミュニケーションのあり方というのも問題を抱えています。店頭における“選択”も大変多様化してきています。店頭だけでなく、SNSからの購買やダイレクト購入といった手段もありますから、消費者自身がコミュニケーションの流れの中で何を信じていいのかわからなくなっています。店頭では実際に自分で目にして、手に取って購入できますが、デジタル内でモノを購入する際には真実がわかりにくいのです。ですから、そこのところでいろいろな犯罪的な問題が起きているわけです。このように、購買自体の構造についても大きなギャップが出てきていることが問題だと思います。
中島 北村フェローはいかがでしょう。
北村 今までの広告とインターネット広告の何が一番違ってきたのかを考えますと、みんなで同じものを見る広告から、どんどん個別化が進んでいる点です。つまり、広告ではなく、“個告”になっているわけです。社会全体で、この個告化に対する認識を深めていく必要があると思っています。さらにそこでは、情報が発信元から受信者に行く間の“パブリック(公)”というプロセスが欠落するのです。先日、日本アドバタイザーズ協会で発表された「広告の定義」でも、「広告は公共性の一端を担うものである」と宣言されています。やはり、情報が伝わるプロセスの中で“公”という意識がないと広告が公共性、公益性を担えないということだと思います。
中島 次に、特にプロモーション分野に造詣の深い内田専務理事から、日本のコミュニケーションの課題についてお話しいただけますか。
内田 コミュニケーションという点で捉えますと、2020年のコロナ禍が大きな転換点になったと考えています。当時、ワクチンに対して反対、賛成の人たちが極端に分かれてしまって、反対する人には反対するのに都合の良い情報ばかり目に入るようになっていってしまいました。
今のデジタル広告にしても、自分が信じるところ、正しいと思うことに対して、それを助長する情報ばかりが集まってくる状況です。そうすると、その情報が間違っていることを疑わないという事態も起きてしまいます。それもコロナ禍のときだったと思いますが、その傾向はさらに進んできていると感じます。ですから、デジタルが進化していく中で、その問題をどうしていくかが重要になっていくと思います。
中島 例えば、LINEなどを見ますと、1人の人間がいろいろなグループに所属していて、そのグループごとに違った個性を演じるといった動きを感じますが、そのような点はどう思われますか。
北村 これも一種の個告的な動きだと思います。人によって情報が伝わってくる内容が違うわけです。広告で言えばまさにターゲティング広告です。一人一人に最適な情報を届けるというのは素晴らしいことだと思いますが、一方で、LINEグループなど似通った人たちだけが集まる小さな社会集団の中では、どんどん考え方や受け取る情報が似かよってきてしまいます。これがフィルターバブルやエコーチェンバーと言われる現象です。
しかも、グループ同士の交流は少ないですから、次第に分断を生んでくることになります。広告・マーケティングも個別最適化という方向に進んできたわけですが、やはり“全体最適”という視点をもう一度見直す必要があるのではないかと思っています。
中島 分断という点では、今の国際経済や政治の部分でも分断がより一層進んでいるように感じます。コミュニケーションにおける分断について、新津先生はいかがお考えですか。
新津 結局、全体最適という概念がある面ではなくなってきているのでしょう。しかも、人間の属性として、フィルターバブル、エコーチェンバーの言葉のように、自分の好みや感性に合った仲間や情報だけを心地よいコミュニケーションツールにしたがります。SNSですと、クリックすれば全部自分の都合のいいものだけを見ていけます。
分断がなぜ起こるかと言うと、個々の心地いい内容がそれぞれ多様化して違ってくることに起因します。また、大きなトレンドの方向に行く人間と行かない人間とで分断をします。それは世代階層的に出てきますし、ライフスタイル的にも出てきますから、さまざまな場面で分断は当然起こり得ます。
政治の面でも、韓国やアメリカも完璧な分断状態になっていると思います。ただし、日本ではまだ多様性が維持し得るところにあるとは思います。
中島 最近の若者の間では“タイパ”という言葉がよく使われているようです。内田専務理事、プロモーション、店頭といった点からタイパについて、どのようにお考えですか。
内田 今の若者たちはタイパを非常に重視しているのは間違いないでしょう。例えば、SNSのお付き合いで済むものは、取りあえずの顔をしておけばいいやとどんどん参加していきます。しかしそれは、本音で付き合っているわけではありません。そうしているほうがタイパ的にいいということで、本当に自分が大事なところだけはリアルな付き合いをするというふうに変わってきています。一つ一つでリアルな付き合いをしていると非常に大変な労力と時間を使うことになりますから、デジタル上の付き合いはタイパ重視で済ませておこう、本音の付き合いだけはリアルにしようといった使い分けが見受けられます。
中島 タイパ志向のほうが自分にとって摩擦が生じにくい、そちらのほうが楽だということなのでしょうね。そのあたりを経営者の立場で見た場合に、どのように考えられますか。
内田 タイパには良い面と悪い面と両方あるかもしれません。例えば、経営という立場で言いますと、2つの意味で残業はしてほしくないのです。1つは人件費を上げたくない、もう1つは、効率よく仕事をして空いた時間でいろいろなものをインプットしてほしいという面があります。タイパ重視でもそこに質が伴えば問題ないと思う反面、深いコミュニケーションがタイパ志向で取れるかという点では、まだ非常に難しいのではないかと感じています。
やはりリアルなコミュニケーション、対面でのコミュニケーションが深まっていくことで、組織に属する共感性や組織に対する愛着が育つわけで、タイパ重視だけではなかなか深まっていかないところもあると思いますので、良い面、悪い面、両方あるように感じています。
中島 タイパを考えたとき、組織の運営はどうあるべきなのか、また、組織のリーダーとしてはどうあるべきなのでしょう。
北村 1つ言えることは、タイパもある種の価値観で物事を判断していることは間違いないと思います。ただ単に右のものを左に持っていくということでやり過ごしているわけではないでしょう。組織のリーダーは、そこをいかに見抜くか、逆に若い人たちから学び取るか、この姿勢がないとコミュニケーションは成立し得ないと思います。
もう1点は、我々昭和世代の価値観をいかにうまく令和型に変えられるかということです。どうしても我々と若者たちとは価値観が違いますから、そこを我々側が社会環境をもう少ししっかり認識し直すことも必要だと思います。
あともう1つ、最後には言いたいことをはっきり言うことです。一方的に言うのではなくて、リーズン・ホワイで言う必要があると思います。私たちはなぜこういう価値観を持ったのかという背景を説明してあげることは、結構大変ですが必要なことだと思います。
中島 最近の学生さんのありようはどうなのでしょう。
新津 私は1980年からずっと教員をやってきましたが、少なくとも90年代はある1つの方向性を示唆するということは若者には通じたと思います。2000年になると、1つの方向性に向けて指示をしづらい時代になってきました。なぜかと言うと、全体最適はほとんど通用しなくなってきて、この方向でやるぞと言ったところで、「はい」と返事はするけれど、どの程度浸透しているかは不明です。
組織で言えば、経営者がそう言えば「はい」とは答えます。結局、自分の生活感と人生観とを比較して、どちらが重要かという問題の価値意識がまったく変わってきています。つまり、今現在、滅私奉公的なふるまいを期待してもまったく無理というわけです。
中島 コミュニケーションの面からも組織マネジメントが非常に難しいということなのですが、最近は非常に転職される方も増えているようです。例えば、雇用とコミュニケーションという点ではいかがでしょう。
北村 海外企業がパーパスを大事にするのは、基本的には流動化した雇用環境の中で、何のために働くのかということを経営者が、従業員に指し示す役割があるからだと思います。例えば、消費財企業であれば、そこで働いているということとその会社の商品の消費者であるという側面も含めて、どういう会社であるかということを経営者が説明するコミュニケーションの基幹軸がパーパスなのだと思います。
終身雇用が前提だった日本の企業はそこのところは、暗黙知で済んできたのでしょう。人的資本の重要性が資本市場からも指摘されている中で、経営者と従業員のコミュニケーションは、時代に合わせてアップデートし続けなければならないものになっています。今、パーパスに共鳴して、その会社に入る若者も増えています。そのパーパスという共通点の下で語り合えるような環境をつくっていくことが大切だと思います。
中島 具体的にコミュニケーションが最終的に購買に直結するのは店頭です。特に最近ではさまざまなプロモーションメディアも登場しています。皆さんは、店頭コミュニケーションについてはどのように捉えられていますか。
内田 店頭だけでなく購買時点の広告=リテールメディアがたいへん注目されてきています。先日発行された『情報メディア白書2025』では、リテールメディアは2027年に9,000億円規模に達するということです。購買するときにどのようなメッセージを伝えるかによってモノを買う、買わないという行動が大きく影響を受けるわけですから、店頭を含めた購買時点のメディアでのメッセージの伝え方、コミュニケーションのあり方というのはますます重要になってくると思います。
新津 モノを購買するという行為は“交換する”ということです。ですから、交換に影響を与えるためにはそのモノの価値をより効果的に伝えなければなりません。そのためには、そのモノへの信頼を得る必要があります。それはモノを一度経験してもらって信頼を得るのか、広告の効果で信頼を得るのか、いろいろでしょう。
製品と商品は違うという考え方があります。買われないものは商品と言わない、陳列されているものは製品そのものだということです。英語では、プロダクトとコモディティと言い換えています。その意味で言えば、販促というのは、プロダクトをコモディティに変える作用です。
最近では、店頭での販促技術はほとんど希薄になりつつあります。90年代から以降は低成長が続きましたから、とにかく店頭でモノの価値をどう伝えるかに必死でした。生活者目線で作成されるPOPも盛んに使われていました。
ところが今はどうでしょう。すべて価格主体に変わってきつつあります。店頭技術は停滞したままでまったく進化していません。改善の工夫にすらメーカーも広告代理店も取り組まない時代です。今後は、店頭でどう製品を商品にするのかという価値の伝達をもっと工夫して、画像なのか、文字なのか、SNSなのか、さまざまな複合な形で価値を伝えていく動きを強化していかないといけないと思います。
北村 私はスーパーに行くのが趣味なので、週末は3軒ほどはしごをするのですが、やはり好きな店とは、他にないものを置いてあるお店です。店頭は買い場であると同時に、手にとって実際の商品を見たり、知識を得たりできる場です。今、生活者は常にネットに接続していますから、デジタル施策と店頭がシームレスに一体化することによって、もっと何か新しい体験ができないだろうかと思います。
スマホの利用時間はますます伸び続けています。これは、情報メディアとしてだけ使っているわけではなくて、日常生活がスマホの上で行われていると言ってもいいでしょう。店頭の情報を伝え、来店をしてもらい、そこに何か新しい発見があることで、店舗と生活者とのつながりをさらに強められればいいと思います。
中島 この点について、内田専務理事はいかがでしょうか。
内田 メーカーも広告代理店も、もっと頑張らなければいけないでしょう。最近は環境保護の問題もありますから少し及び腰になっているのかもしれません。POPについても環境配慮のことを考えるとなかなか簡単には店頭には付けてくれないようです。とはいえ、コミュニケーションを取るために店頭をどう作るか、どう情報を流していくのかを、もっとメーカーも広告会社も流通も議論していかなければならないと思います。
新津 90年代以降、売り場、買い場という原則でずっと店頭販売技術や販促スキルを向上させようとしてきたわけですが、どうもそれが限界点に来ていると感じます。店はお客さんが来るのを待っているだけでいいのか、ならば店が外に打って出るとはどういうことなのかという問題にもなります。
現在は、地域の中にコミュニティがしっかりとできあがっていない部分が多いと思います。例えば、高齢者の介護の問題や育児など働くお母さんのソリューションのために、店舗という空間を望んでいる人たちをコミュニティ化していく、サポートしていくことも考えられます。スーパーが子ども食堂をやっても構わないわけです。むしろ小売業そのものがそちらの方向に構造的に転換をしていくべきだと思います。さらに今回の米の問題では、コンビニに備蓄米が並んだということが一番大きなインパクトになりました。つまり、コンビニは生活と非常に近い括りの中に存在しているので、すぐそばのコミュニティに直結しやすい空間です。
小売業が単に売り場、買い場という概念から抜け出し、地域のコミュニティの形成に参画していくという構造的な考え方をしなくてはいけない時代が来ていると思います。
中島 デジタルと店頭のシームレスという視点と同時に、店舗のみが人を介在させうるという点も重要かと思います。デジタルには介在できません。最終的にはやはりヒューマンパワーなのではと思えて仕方ないのですが、今一度、人のコミュニケーション力、人の温かみこそが大事なのではないかと思っています。
北村 人という意味では、昨年あたりから、いろいろな消費財企業が全体のクリエイティブを、品質・機能訴求を前提としながらも、情緒訴求へと舵を切り始めました。クリエイティビティの世界的な見本市と言われるカンヌライオンズでも、昨年から、大きな社会善の追求だけでなく、ユーモアや人と人とのふれあいの温かさを、もう一度思い出そうという動きが出てきて、世界的な潮流となっています。
人間の脳の報酬系がもっとも活性化するのは“利他”の意識だと聞いたことがあります。利他は、一番人間にとって本来的な喜びをもたらすのです。この利他の精神を呼び起こすコミュニケーションとはなにか、を考えていくことも大事だと思います。
中島 本日は貴重なお話をいただきました。ありがとうございました。
*お顔写真とプロフィールはWebからの仮置きです
新津 重幸(にいつ しげゆき)氏
高千穂大学 名誉教授
1970年早稲田大学商学部卒業。1972年同大学大学院商学研究科修士課程修了。同年株式会社読売広告社マーケティング部を経て、1980年高千穂商科大学(現高千穂大学)専任講師に着任。1990年より同大学教授。現在、高千穂大学理事・同大学院教授。(広告論・マーケティング論)。社団法人新日本スーパーマーケット協会・客員教授。
内田 剛(うちだ つよし)氏
一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会 専務理事
大学卒業後、地方本社の広告会社東京支社にてプロモーションに携わったのち、外資系スポーツメーカーでマーケティングマネージャーを務める。
2002年に博報堂グループに入社し、博報堂プロダクツ設立後に執行役員。プランニング、PR、関西支社、印刷、事業管理などの部門長を経て、2023年より日本プロモーショナルマーケティング協会に所属。現在に至る。
北村 裕一(きたむら ゆういち)氏
日経広告研究所 研究フェロー
1985年日本経済新聞社入社。広告営業としてIT、食品・医薬等幅広い業種を担当。 日経ヨーロッパ社フランクフルト支社駐在、経営企画室、デジタルビジネス局を経て、 広告審査協会、プレミアムプラットフォームジャパンへ出向。2020年4月日経広告研究所専務理事、25年6月より現職。
中島 聡(なかじま さとし)氏
公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 専務理事
私たちの日々のオフィスワークにおいて、AIは欠かせないものになっています。業務の効率化や品質の向上、顧客の購買履歴や行動データの分析・洞察、会議の効率化と情報共有、顧客対応の自動化など、今ではさまざまなビジネスシーンにおいてAIが日常的に使用されています。『情報通信白書』(令和6年版)によると、わが国のAIの市場規模は、2023年度6,858億7,300万円で、2028年度には2兆5,433億6,200万円規模に達すると予測される急成長を遂げています*1。このようなAIの急速な拡がりは、社会のあらゆる面のDX化*2の波と相まってビジネス社会のみならずさまざまな世界に拡がっています。
2024年度のノーベル賞受賞は、多くの驚きをもって迎えられました。ノーベル賞の中でも伝統ある物理学賞に、今日のAI発展に大きく寄与した「人工ニューラルネットワーク(人間の脳内にある神経回路網を模した数理モデル)」研究のジョン・ホップフィールド氏、「ディープラーニング(深層学習)」の技術を開発したジェフリー・ヒントン氏が受賞しました。またノーベル賞の化学賞にも、同様にAI研究者が受賞しています。
それまで単にツールとして見られていたAI研究分野での受賞に世界は驚く一方で、短期間で伝統的な学問分野と肩を並べるまでに発展したことに対し感慨をもって迎えられました。世界の眼は、現代社会のあらゆる面で大きく貢献するAI開発、特にその道を切り開いた先駆者たちへの高い評価と賞賛に向けられたのです。
ジョン・マッカーシーにより1956年に初めて「AI」という言葉が誕生して現在までに、3回のAIブームが起きています。当初は限定されたルールの中でしか動作できませんでしたが、現在の第3次AIブームでは大量のデータをコンピューター自ら学習するアプローチとなり飛躍的に進化しています。特に現在主流となった生成AIの登場により、専門的知識がなくても新たなコンテンツを創り出せるようになったことも画期的なことです。生成AIは人の脳の活動をモデルとしながらそれに近づき、再現が難しいとされてきた脳内の「閃きやアイデア」といった創造性のシミュレーションも現実味を帯びてきています。
急速なAIの拡がりとDX化の波の中で注目すべき分野の一つが、次なるデジタル世代を育てる「教育」分野のDX化です。2019年に「GIGAスクール構想」として文部科学省により開始されたこの取り組みは、全国の児童・生徒に一人1台のデジタル端末と高速ネットワークを整備する取り組みです。小学生段階からタブレットやPCを使いこなすICTスキルを身につけた児童たちは、既に第2期に入った「NEXT GIGA構想」の現在においては、デジタル教科書や生成AIを自在に活用して、アナログ時代とは比べものにならないほどの多角的な情報の吸収、より深みのある理解力の獲得、自ら創作したコンテンツの表現など多くの成果が出ています。
児童たちは知識・教養面といった社会的枠組みから世代的に自由な発達段階にあり、その素質や才能もとても柔軟なものです。児童たちのこの自由な発想、空想力、創造力、好奇心といった内面のイメージや情報も、現在ではAIを使って外部に可視化しアウトプットすることが可能となってきました。例えばAIと対話しながら塗り絵を一緒に創りあげる*3、児童の空想したものをAIによってビジュアル化する*4といったようなさまざまなチャレンジがすでに行われています。
DX教育の下で小学生段階からAIを使いこなす児童たちは、かつてのどの世代よりも新たな創造的コンテンツや「新しい何か(Something New)」を主体的に生み出す能力とスキルを身につけた世代として、今後大いに期待されます。いわば新たなDXジェネレーションの登場です。
DX教育では対話型AIをはじめとして、さまざまなタイプの生成AIが用いられています。それらは多くの場合に単に「AI」という表現で括られる場合もありますが、厳密には両者は異なります。従来のAIが前もって学習したデータの範囲内で判断、判定、決定し、データ分析やパターン認識などの“分析”を主体としているのに対して、生成AIではこれら分析に加えて新たにテキスト、画像、動画、音声などのコンテンツを「創造」できる点が大きく異なります。つまり新たなコンテンツをゼロから創り出す魅力があり、これが多くのユーザーに支持されている大きな理由ともなっています。
「新しい何か(Something New)」「新しい見方・考え方」という本稿のテーマから見た場合に、人間の指示一つで見たことも経験したこともないような画像、動画、音声などを自在に生み出す生成AIには期待が膨らみます。みなさんもアイデア出しや企画案づくりなどで、関連資料の収集、読み込み、分類、そこからのサジェスションなど、日常的に生成AIを活用されていることでしょう。
人の脳の神経細胞(ニューロン)を模したモデルのニューラルネットワークは、コンピューターの進化により可能となった膨大なデータ(ビッグデータ)の中から、AI自らがそれらの特徴や関係性を抽出し学習する「ディープラーニング(深層学習)」の機能によりかつて例を見ないほど高機能になっています。その結果AIは、ますます人間の脳に近づきSomething New的な閃きや新しい何かを生みだす可能性をも期待できるようになりました。
第1次、第2次ブームのAIが集計、計算、分析といった「ツール」として使用されていたのに対して、現在の第3次ブームの主役である生成AIは、ユーザーにとって「相談相手」ともいうべき存在へと関係性が変わってきています。特に2022年のChatGPTの登場以来、この傾向は顕著になっています。従来のAIがユーザーの指示に答えるという一方通行的で上下関係の縦のコミュニケーションであったのに対して、対話型は双方向的で横のコミュニケーションとなり、一段と人と人の対面の会話に近いものになっています。
対話型AIでは、ユーザーが漠然と考えていることをAIとやり取りを通してより具体的なイメージを構築したり、求めている解が閃いたりということも起こりえます。これは誰かと話をしている時にふと閃くといった、外部からトリガーとなる刺激として着想を得る(第8回 閃くシーンとは②-着想からの視点-)シーンと共通するものです。
誰かと話をしていると自分の考えがより洗練された方向に導かれたり、あるいは思いもよらなかった新しい考え方や閃きが生まれたりするコミュニケーションを、コミュニケーション論ではソクラテス問答法あるいは「産婆術(マイエウティケー)」と呼ばれています。古くはソクラテスによって発展された対話技法とされています。
ChatGPTの登場以来、対話型AIが急速に進化してきたとは言え、リアルな人の対話に達するレベルにはまだ完全には至っていません。閃きやアイデア創出にも繋がるソクラテス問答法のようなコミュニケーション技法には、論理的な質疑応答のやり取りのみならず、リアルな人の会話のように「無駄話」や「雑談」といった迂回コミュニケーションも必要となってきます。
人は話をしている時にテーマとは異なるお喋りや話題などを通して、話相手の温かみや人柄などを感じるという感情的・情緒的側面も持ちあわせています。それらの側面を通して場が和み、リラックスした雰囲気の中でコミュニケーションが促進され、閃きやアイデアのヒントや気づきが生まれることが多々あります。
人と話していると見まがうほどリアルにAIと議論しながら、たまたま趣味の雑談も飛び出し盛り上がった時に突然アイデアが閃く、といったことも決して夢物語ではありません。リアルな人との会話のような質疑応答のコミュニケーションができ、さらに無駄話や雑談までできる対話型AIの登場もそう遠くないかもしれません。
<参照文献>
*1.『令和6年版 情報通信白書』 総務省 2024年
*2.経済産業省はDX(Digital Transformation)を以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとIT技術を活用して、顧客のニーズをもとに、製品、サービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を改革し、競争上の優位性を確立すること」 経済産業省「DX推進ガイドライン Ver.1.0」 2018年
*3.「塗り絵をAIと作る新サービス 子どもに創造力と好奇心を」 電波新聞Denpa Digital 2025年4月22日
*4.「生成AIで子どもの空想をビジュアル化!?
「AI LOVE YOU展」で子どもたちの無限の
空想力を引き出してみた」
2025/6/4 ウェッブ電通報 9289
https://dentsu-ho.com/articles/9289
中島 純一
公益社団法人日本マーケティング協会 客員研究員
近年のChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及に伴い、AIを “使う” ことは誰にでも可能な時代になった。だが、それを“使える状態にする”ための基盤づくりには、依然として高い専門性が求められる。そんな生成AIを裏から支えるGPUクラスタ基盤の構築と実運用に焦点を当てた実務書が本書である。
書名にある「13のポイント」とは、第2章で紹介される実践的な指針であり、GPUクラスタ構築を検討するうえでの必須項目が網羅されている。本書で何度も触れられる「GPUクラスタの構築は“総合格闘技”である」というたとえのとおり、さまざまなスキルが必要とされることが示され、構築後の持続的な運用に関するヒントやノウハウについても言及している。
また第3章では、GPUクラスタを用いた、ビジュアライゼーションとして、NTTPCの「VDIクラウド for デジタルツイン」に結実する、NVIDIAの「Omniverse」の構築ポイントやVDI技術に関する知見について、第4章では著者2名による対談にて、技術のみにとどまらない「フルスタックエンジニアリング」の重要性が語られている。ここでいうフルスタックエンジニアリングとは、エンジニア、プロジェクトマネージャー、セールスなどのスキルを備え、過程をきちんと計画できる総合的な力をもった人材、能力のこと
2人は「高性能なGPUクラスタを作っただけでは意味がない。それを業務の中で『当たり前に使える』ようにするには、どれほどの配慮と調整が必要か」と語る。そのために、いかにフルスタックエンジニアリングが重要性であるのか、現場のリアルな意見が展開されている点も印象深い。
生成AIの社会実装を「研究開発」から「事業化」へとシフトさせる際に問われるのが、「社会インフラとしての設計力」である。多くの企業がクラウドや大規模計算リソースを導入しながらも、その先の持続的な運用・拡張・可視化に苦戦している現状に、本書は大きな示唆を与えるだろう。
AI時代に不可欠な“GPUクラスタ”技術をどのようにビジネスに展開していくかに関心を持つ人に、ぜひ手に取ってほしい。
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エヌ・ティ・ティ出版株式会社
佐藤 達郎 氏
多摩美術大学 教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)
日本広報学会 理事長
世界最大規模の広告とコミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ」の動向を長年にわたり見聞されている多摩美大の佐藤達郎先生に、最近のクリエイティビティの変化や潮流について語っていただくとともに、広告と広報の役割変化についてもうかがいました。
───最初に、カンヌライオンズについて教えていただけますか。
佐藤 カンヌライオンズは、1954年に始まり、2025年で72回目となります。皆さんご存知のカンヌ映画祭と同じ場所で毎年6月に開催されます。もともとはシネアドと言って映画で流す広告が対象で、映画祭の付随という位置づけで始まったようです。
最初の1954年にはフィルム部門だけの1部門でしたが、次第に増えていって、2004年に私がフィルム部門の審査員を務めた時には7部門になっていました。その後も拡大を続け、そのうちにPR部門も入ってきて、ここ2〜3年は30部門となっています。
それまではカンヌ国際広告祭(アドバタイジング)だったわけですが、2011年に、僕らがやっているのは広告ではないといった話にもなり、アドバタイジングの代わりに「クリエイティビティ」となりました。正式名は「カンヌライオンズ・インターナショナル・フェスティバル・オブ・クリエイティビティ」です。すなわち、マーケティングやビジネスに関わるクリエイティビティは全部扱うということになりました。例えば、最近新設されたクリエイティブ・ビジネス・トランスフォーメーション(新規事業開発)部門は、広告表現とは無関係で、新規事業コンペティションのような様相になっています。ですから、2022年からは、マーケティングに注力されている事業会社の方々が増えている印象があります。
カンヌライオンズとは
カンヌライオンズとは、毎年6月にフランスのカンヌで開催される世界最大規模の広告とコミュニケーションの祭典。正式名称は「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」で、世界中から広告、マーケティング、クリエイティブ分野のプロフェッショナルが集まり、優れた作品を表彰し、最新のトレンドを共有する場として知られている。
カンヌライオンズ日本公式サイト
───佐藤さんはこの20数年、カンヌライオンズをウォッチされてきたわけですが、コミュニケーション上の大きな変化は感じられていますか。
佐藤 そうですね。2010年あたりから「ソーシャルグッド」というキーワードがすごく出てきました。広告あるいはブランドが社会に良いことをしたほうが、結果、好意度も上がって売上も上がるといった考え方ですね。そのような“世の中に良いことをする”という流れがありました。
その後、「パーパス」ブームが起こりました。我々の存在意義は何だというブランドパーパスのセミナーが多数出てきて盛況でした。そのせいなのか日本では、カンヌライオンズは社会課題解決の事例が多いというイメージを持たれがちなのかもしれません。
───世の中の変化に対応してイベント自体の性格も変わっていくわけですが、今年の大きな潮流はどのようなものでしょうか。
佐藤 毎年、26,000点ほどの応募があって、ブロンズ以上で3%(800点超)、ゴールド以上で1%(250点超)が受賞します。しかも多様性を大事にする傾向もあるため、いろいろなタイプのものが集まっているので一概に言うのは難しいのですが、私が興味を持ったのは、アクサ生命保険が手掛けた「Three Words(たった3つの言葉)」です。これは3部門のグランプリを受賞しています。アクサは、ドメスティックバイオレンスに苦しむ女性のために、保険の約款に3つの言葉「and domestic violence」を付け加えたのです。一般的な住宅関係の損害保険で、火事や洪水の被害が補償される、引っ越し費用も出るなどと細かく書かれている約款の最後にこの3つの言葉を足したわけです。つまり、今まではドメスティックバイオレンスを受けている女性が引っ越すこともなかなかできなかったものが、この保険で可能になったのです。DV啓発の素敵な動画をつくったということではなく、約款に「and domestic violence」という3つの言葉を加えただけです。何かを伝えるというより、何かを行ったのです。言い方を変えると「TellingからDoing」です。社会課題解決の啓発ではなく、何か役に立つようなことを実施するという傾向はここ何年かで強まっていると感じました。
Doingの事例では、インド鉄道の「ラッキー・ヤトラ(LUCKY YATRA=幸運な旅)」も興味深かった取り組みです。インド鉄道では乗客の4割ほどが無賃乗車をするため困っていて何とか解決策はないかと知恵を絞ったわけです。ある種のトンチなのですが、インド人の宝くじ好きなところに目を付けて、チケットの番号をもとに毎日当たりが出る仕組みをつくったら、皆がきちんとチケットを買うようになって赤字分がすぐに解消したという取り組みです。これも、表現ではなく、Doingしたアイデアです。
さらに、ルノーの試みも面白いです。2024年に受賞した「Renault – Cars To Work」という施策なのですが、フランスの国土の4割がモビリティデザート(公共交通機関がほとんどない場所)だそうです。そのような場所では失業率も高く、たとえ就職が決まっても試用期間中に通える車もないわけです。そこでルノーは、3~6か月ほどの試用期間中は無料で使ってください、その代わり、無事に正規雇用されたらローンを組んでルノー車を買ってくださいという制度を展開しました。まさにDoingしたわけです。
───そのほかに注目されている変化がありますか。
佐藤 一つは、「Humor」でしょうか。カンヌライオンズの30部門の下にはサブカテゴリーが細かく設けられているのですが、7部門ほどに「Use of Humor(ユーモア活用)」というサブカテゴリーが加えられています。事務局側もユーモアに注目しているわけです。ユーモアと言っても、笑いのニュアンスということだけではなくて、ウイットや機知といった意味合いです。先ほど紹介したインド鉄道の例もそれに近いです。
もう一つは、「Authenticity(オーセンティシティ=正当性、らしさ)です。「His authenticity」とは“彼らしさ”という意味合いで、そのブランドがやる意味合いが大事で、全然関係のない会社がDV反対という訴えをしても意味がないということです。女性も加入する保険会社がDV問題に関わっていくことは非常にオーセンティシティが高いとなるわけです。取り組みの意味合いもわかりやすいと思います。
───カンヌライオンズでは、会社の経営戦略や事業そのものも対象とされているのですか。
佐藤 そうですね。30部門もありますから、最近では、広告表現ではない経営戦略に近いようなジャンルもたくさん出てきています。先ほどもお話ししたクリエーティブ・ビジネス・トランスフォーメーション部門もできていて、初代グランプリはフルーツのドール社の「ピニャテックス」という繊維事業でした。廃棄していたパイナップルの葉を再利用して、ピニャテックスというビーガンレザーを開発しました。現在では著名なファッションメーカーも使っていますし、日本でも簡単に買えますので、かなりのビジネスに成長していると思います。これも、社会課題解決の文脈であって、表現ではないわけです。
───新規事業の分野は若い世代にとっても可能性を感じられる場ですよね。
佐藤 おっしゃる通りです。カンヌライオンズには、本選とは別にヤングライオンズコンペティションがあります。30歳以下のプロフェッショナルを対象とした公式プログラムで、各国の代表2名1チームが参加し、現地で与えられた課題(多くは社会課題)に対し、定められた時間内に作成した映像や企画書を提出しプレゼンテーションを行うというものです。日本でも予選を行っています。
───話は変わりますが、そもそも日本では広告が煩わしい、信用できないと思われています。
佐藤 そうですね。基本的には広告は言いたいことを言っていて信用ならないということです。ですから、もう20年ほど前から戦略PRという言い方であるとか、広告の中にも広報的な要素を入れようといった動きはありました。例えば、広告ではなくて、記事として取り上げてもらう、SNSで紹介してもらうなど、他者の目を一回通すという手法も一つの解決策だと思いますし、実際そのような試みはたくさん行われてきました。
───広告と広報の変化を考え合わせると、企業戦略的には両者は完全に融合しているように思えてならないのですが。
佐藤 おっしゃる通り、状況としては合体している、あるいはしつつあると言えるでしょう。ただし、それらをどうハンドリングするかという点がまだあまり明確ではないとは思います。
日本広報学会では、2023年に「広報の定義」を発表しています。その最後に「(広報は)経営機能である」と明言しています。日本アドバタイザーズ協会の「広告の定義」でも、広告と経営のリンクに触れていますから、その意味でも、広告と広報もそれなりの違いはありつつも、お互いにどう乗り入れるのか、どううまくマッシュアップするのかという方向に進んでいくのではないでしょうか。
───いろいろなものがマッシュアップしていく、あるいはDoingしていく時代なのでしょうか。
佐藤 私は、 古いと言われようが大事だと思って学生に教えていたのが、「what to say」と 「how to say」と分けて考えようということです。つまり、その商品を売るためには何を伝えるべきかとまず考えて、内容やメッセージを決めます。気持ちがよくなる、原材料が違うなどなど何を伝えると一番売れるのか、what to sayをまず決めるわけです。そして次に、それをいかに人に届くようにするか、how to sayを考えるというステップです。しかし、先ほどのインド鉄道の例は、そのステップは無視されていて、課題解決のためにこれをやろうというわけです。もう“伝える”のレベルではなく、本当にDoingのレベルです。何かを伝えるための表現を考えるという手法とは少し違うアプローチだと感じます。
もう一つ面白い例があります。メキシコのテカテビールが、トランプ大統領が提案した、GULF OF MEXICO(メキシコ湾)をGULF OF AMERICA(アメリカ湾)に変更する施策に“ユーモアで応じた”取り組みです。当時、Googleもトランプ大統領の提案に追随してGoogleマップ上でもGULF OF AMERICAと表示したのですが、これに対してテカテビールは、メキシコ湾(アメリカ湾)に船を出して、そこにGULF OF MEXICOというバーを開いたのです。Googleマップは新規開店が自動的に反映されるらしいので、GULF OF AMERICAの下にGULF OF MEXICOという店名が出るわけです。これにメキシコ人は拍手喝采で、テカテビールの評判も急上昇したそうです。社会的な難題に対して、一種のトンチ、広告的機知で切り返して見せたというのは非常に面白いと思います。
───機知やHumorも重要なキーワードですね。最後に、日本の事業会社やマーケターへのアドバイスをお願いします。
佐藤 クリエイティビティとは、従来のやり方を覆すためのスキルと考えると、世の中が変化しているわけですから、事業会社側も従来どおりではないことをやる必要があるはずです。冒頭で申し上げた通り、カンヌライオンズでは毎年、ブロンズ以上でも800点超、ゴールド以上で250点超も受賞例がありますから、その中で気になったものを見るだけでもなんらかのヒントは得られるのではないかと思います。
───本日は貴重なお話をありがとうございました。
(Interviewer:中島 聡 本誌編集委員)
佐藤 達郎(さとう たつろう)氏
多摩美術大学 教授
(広告論 / マーケティング論 / メディア論)
日本広報学会 理事長
1981年一橋大学卒業、アサツーディ・ケイ(当時)入社。博報堂DYを経て、2011年から現職。
学会活動として、日本広告学会常任理事、日本マーケティング学会ブランドマネージャー制度研究会前リーダー、WOMJ(クチコミマーケティング協会)理事<元理事長>、公共コミュニケーション学会理事等をつとめる。ビジネスの世界では、小田急エージェンシー・クリエイティブアドバイザー、古河電池社外取締役など。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。コミュニケーション・ラボ代表。
著書に『「これからの広告」の教科書』(かんき出版)、『自分を広告する技術』(講談社)、『教えて!カンヌ国際広告祭』(アスキー・メディアワークス)等がある。