『新消費をつくるα世代
答えありきで考える「メタ認知力」』
小々馬 敦 著 日経BP
本書は、2010〜24年に生まれたα世代についての価値観や行動特性をもとに、2030年の消費のあり方やマーケティングについて、小々馬氏によって執筆されたものである。
日本では少子高齢化が進む中、世界中を見てみると高齢者人口が増加している国では、α世代は毎週280万人以上が生まれている。そのα世代の総人口数は2025年に25億人規模にのぼるとされており、これは今後のグローバル経済に大きな影響を及ぼす最大ボリューム世代として注目すべき世代である。
本書ではコロナで幼少期を過ごす彼らにとっての価値観や傾向ならびに親の大半がミレニアル世代(Y世代/ジェネレーションY)であり、物心がついたころからwithコロナの生活が染みついている傾向についても記されている。また、Z世代と同様のデジタルネイティブ世代ともいえるが、そのネイティブさは、我々Z世代とは異なる世界線が見えているのかもしれない。私はZ世代に特化したマーケターとして、また、Z世代の当事者(1997年生まれ)として活動している。私が学生時代にSNSが一気に普及し、いまでは結婚の報告や年賀状がInstagramやLINEを通して行われることが当たり前の世代である。
一方で、α世代はZ世代が経験していなかった「幼少期からデジタル機器を手にし、簡単にスワイプまでできてしまう世代」である。また、ミレニアル世代の親が多く、世代的特徴だけでなく家庭環境としてもデジタルに囲まれて生きている。いわば、Z世代を超えたデジタルネイティブ世代といっても過言ではない。そのようなデジタルネイティブ世代の傾向をもとにこれからのマーケティングについて理解する上で大変参考になる書籍である。
長い歴史を見ても、環境の変化についていけた種だけが生き延びてきたように、α世代、そして、その次のβ世代においても理解していく必要があるだろう。人種や性別・価値観などの多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、尊重することが当たり前のα世代にとって、私たちを受け入れることもまた当たり前のことなのだから。
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僕と私と株式会社 代表取締役、
一般社団法人Z世代代表、Z世代の企画屋
今瀧 健登