第14回
20世紀の幸せの方程式と
21世紀の幸せの方程式

さまざまな困難に遭遇したとき、人は原理原則に立ち戻ることで正解に近づくことができます。または、先人の言葉を参考にすることで事態を打開できることがあります。そこで私がこれまで先輩に教わり、あるいは体験したり、書籍から学んだことをお伝えさせていただきたいと思います。

其の1

20世紀の幸せの方程式と
21世紀の幸せの方程式

 いま、私たちの社会では、幸せの方程式が変わろうとしています。20世紀の社会では、幸せとはモノの豊かさによって測られるものであり、人々が幸せを実感するのは、お腹いっぱいに食べられ、さまざまな製品に囲まれたときでした。
 21世紀を迎え、モノの豊かさよりも心の豊かさが、量よりも質が、人生の長さよりも質の高さが重視されるようになり、社会は新しい幸せの方程式を模索しています。
 21世紀に成長を続けるには、モノの豊かさよりも心の豊かさを、量より質を、人生の長さよりも質を重視する企業に変わらなければなりません。

其の2

売上を追うと売上は逃げていく。
商品を追いかけると売上がついてくる

 売上をつくることは大切です。企業は、売上なしでは事業は成り立ちません。しかし、売上をつくるために、条件交渉のみの営業に走ると、売りやすい商品に偏って売上をつくることになります。そして、売りやすい商品のさらなる価格低下を招き、結果的にブランド価値を低下させることになります。
 それに対して、一つひとつの商品が実現する価値を生活者接点で表現し、それらの商品がコンスタントにお客様を獲得すれば、無理をしなくても自然に売上はついてきます。

公益社団法人 日本マーケティング協会
会長 藤重貞慶