巻頭言
本誌では、これまで、宝塚、ジャニーズなどに対する、いわば「オタク」的な「行動」を今後のトレンドの一つとして取り上げ、それらを「生活への彩り」「その人の人生を輝かせるもの」として論じてきました。
現在、「推し」がいること、そのための活動をすることは一般的になりつつあります。オタクには、良いラベルが貼られました。そうした意味では私たちの予測は当たったといえます。
一方、推しの存在の素晴らしさを主張してきた人たち(私自身)にとっては、推し活の拡大に違和感、そして、推し活向けのさまざまなサービスの登場に「嫌悪感」を覚えたりすることも増えたと聞きます。
推すための行動や気持ちが「全体に軽くなった、重みがなくなった」ことが、古参のファンには受け容れられないのかもしれません。
本号では、超低成長時代に、応援消費がなぜ拡大したのか。その消費の軽さに原因があるのかなど、その実態や背景、理由、今後の行方について探っていきたいと思います。
本誌編集委員 中塚 千恵