市 場 創 造

巻頭言

 本年1月に日本マーケティング協会により、34年ぶりにマーケティングの定義が見直されました。まさに新しい時代に即したマーケティングの概念を再認識する、素晴らしい内容となっています。新たな定義では「価値を創造し、その価値を広く浸透させること」によって豊かで持続可能な社会の実現を目的としています。
 過去にない新しい価値をつくり出すことは、すなわち市場を創造するということです。新たな市場がつくられることで新たな需要や雇用がつくられ、結果として豊かな社会の実現につながると考えられます。フィリップ・コトラーやデービッド・アーカーといったレジェンド達が、市場創造を強く支持していることは、広く知られている通りです。
 現実の業務において、市場創造を計画・実行するためには、どうしたらよいのでしょうか。これまでのマーケティングの延長線上で達成可能か、もしくは新しいアプローチが求められているかもしれません。
 今回の特集では、市場創造を長年テーマに活動されている学会や実務家、また成功事例などを通じて、われわれマーケターへのヒントを共有できればと考えました。

本誌編集委員 福島 常浩

ⅰ:マーケティング定義 <2024年制定>
(マーケティングとは)
顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

注1)主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注2)関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注3) 構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。