第15回
平均寿命と健康寿命の
差をゼロに

 さまざまな困難に遭遇したとき、人は原理原則に立ち戻ることで正解に近づくことができます。または、先人の言葉を参考にすることで事態を打開できることがあります。そこで私がこれまで先輩に教わり、あるいは体験したり、書籍から学んだことをお伝えさせていただきたいと思います。

其の1

平均寿命と
健康寿命の差をゼロに

   日本人の「平均寿命」は長く、世界一の長寿国といわれていますが、一方「健康寿命」という考え方もあります。これは、WHO(世界保健機関)が提唱している、人生の質をあらわす指標で、人間として尊厳を持って自立した生活ができる年齢のことです。
 健康寿命は平均寿命よりも短く、日本人の場合、男性では不健康な期間が約9年、女性は約12年続くことになります。
 健康寿命を延ばし、平均寿命との差をゼロに近づけることは重要です。アジアでは、健康寿命が日本の昭和30年代よりも低いと言われています。この低い健康寿命を引き上げることもとても大切な仕事です。

其の2

これからの日本に
必要な産業

 日本経済はいま、大きな転換期の中にありますが、これからの日本に必要なのは、食糧やエネルギーの自給率を高める産業と、人々の価値観の変化に対応し、生活の質を高める産業です。
 前者は、植物の工場栽培や海底資源活用などの新しい農業や海洋産業、太陽光、太陽熱、地熱、風力などを利用したグリーンエネルギー産業であり、後者は、医療や教育などの社会基盤充実に関わる産業と、生き生きとして充実した毎日を支える健康快適生活産業です。

公益社団法人 日本マーケティング協会
会長 藤重貞慶